伊良部阪神へ
年俸2億4000万円27日発表
米大リーグ、前レンジャーズ・伊良部秀輝投手(33)の阪神入団が26日、決まった。中日、オリックスとの争奪戦を星野阪神タイガースが制し1年契約、年俸200万ドル(約2億4000万円)で合意。27日にも発表される。伊良部は7年ぶりの日本復帰。甲子園に剛腕が帰ってくる。
決め手は、タテジマへの憧れだった。阪神、中日とのマッチレースだった伊良部争奪戦にオリックスが電撃参戦。2年500万ドル(約6億円)の破格の条件提示を受け、さらに、同じ団野村氏が代理人を務める前ロイヤルズ・鈴木誠がドラフト指名を受け入団が確実になった。ロッテで9年プレーし、パ・リーグへの思い入れもあった。
しかし、幼少から過ごした関西で人気ナンバーワン球団のユニホームの袖を通すチャンスを見逃すことはできなかった。中日からのラブコールも断った。中日はシーズン中から調査を進め、6月にはレンジャーズとのトレードが基本的に合意に達したが、最終的に復帰をやめた経緯もあったが、再びオファーしてくれていた。第一希望だったメジャー球団からの入団打診もなく、最終的に阪神を選んだ。
伊良部の思いに、阪神もこたえた。当初の提示額170万ドル(約2億円)を200万ドル(約2億4000万円)までアップ。最大限の条件を提示し、交渉はまとまった。
凱旋(がいせん)帰国への準備は万全だ。オフになっても、米国に残りトレーニングを継続している。レ軍を自由契約の要因になった、肺の近くの動脈付近にできた血栓(せん)も完治。食事療法をはじめとする過酷なリハビリにも耐えた。知人を通じ、同じ症状のエコノミー症候群を克服したサッカーの高原直泰(ジュビロ磐田)に治療法を聞くなど地道な努力もあった。
チーム改革を進め積極的な補強を続ける阪神だが、伊良部は来季の投手陣の目玉になる。今季、7月に戦線離脱するまで3勝18セーブを挙げ守護神として開いた新境地。バルデスを解雇し、抑えとして前ドジャースのジェフ・ウィリアムスを獲得したが、通用しなければ、伊良部が最後のマウンドを締めることができる。もちろん、先発も可能だ。
ロッテ時代は西武の主砲だった清原との対戦は話題を集めた。93年の対戦でマークした158キロはいまだに“日本記録”だ。来季は阪神の新戦力として、巨人の4番打者との対決が新しい名勝負として語り継がれることになりそうだ。
 

巨人顔負け獲得ラッシュで巨大戦力に
星野阪神の大補強計画も、伊良部の獲得成功でゴールが見えてきた。特に戦力外通告やトレードによって大量18人を放出した投手陣は、日米で実績のある伊良部が、最大の目玉になるのは間違いない。
昨年22セーブを挙げたバルデスを解雇したが、ドジャースから左腕のウィリアムスを獲得。伊良部がリリーフに回るなら、強力な抑えの2本柱となる。日本ハムからトレードで獲得した下柳も先発、リリーフの両方で起用できる。特に中継ぎ陣の層の薄さを露呈した今季の反省を生かした大胆な血の入れ替えは見事に実現した。
FAでは広島から金本の獲得も決まり、残るは中村の入団を待つだけ。ノリが加われば、野手も片岡や赤星が来季のレギュラーを保証されない立場になるほどの陣容になる。シーズン中から星野監督が予告していた通りの大補強。「描いていたものは、一つ一つクリアしている」と話していた闘将。優勝を狙う戦力は整いつつある。

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